「成果をあげてくれた社員に、賞与で反映したい!」
この時期になると、そんな経営者の声を聞きます。
何故って?モチベーションを上げて更に貢献してもらいたいからですよね。
たしかに「どんなに頑張って成果をあげても、何もしなくても賞与や給与は同じ」それでは不平不満は募ります。
でも、「成果があがったら給与や賞与UP」は、ときにモチベーションを妨げる要因にもなるのです。
スポーツやゲーム、誰に言われるまでもなく熱中して楽しめることがあります。
こうしたスポーツやゲーム自体への純粋な好奇心や楽しみ(内発的な動機)で行っている行為に対し、金銭報酬を与え続けるとします。
例えば、ラジオ体操に行ったら1回100円のお小遣い、次の日も100円、その次の日も・・・これを続けるとラジオ体操したら100円もらえることが当然になってきます。
ある日、ラジオ体操をしても100円がもらえなくなると、不満を抱くようになります。
当初は自身の純粋な楽しみ(内発的動機)で取り組んでいたことが、外発的な動機である金銭をもらい続けることで、内発的な動機は失われてしまう。これをアンダーマインイング効果といいます。
仕事でも同じことが起こります。
お客様に喜んでいただけることが純粋にうれしくて、 商品のご案内をしていた。お客様と成約したら賞与で1件○万円を払い続けていたところ、いつしかお客様に喜んでいただくことより、1件成約=○万円の行為に変わってしまう。
あるとき会社は1件○万円の水準を下げようとすると・・・「なんだよ、やる気もなくなるよ!」という声の嵐。
金銭的報酬で得たモチベーションは一時的な効果しか持続せず、しかも従前もっていた内発的な動機付けも失わせてしまうのです。
では、「成果に応じて賞与」はモチベーションUPにはつながらないのか?というと、そうとも言い切れません。
一つは「頑張ることで手が届く適切な目標」を設定すること、そして「言語報酬」すなわち「承認する」「褒める」ことが、モチベーションの向上につながるという研究結果があります(目標設定理論、エンハンシング効果)。
評価制度において、期初に適切な目標を設定し、結果をフィードバック(承認)することは、社員のやる気を引き出す上での理にかなっています。
「言語報酬」は、その人の才能や成果ではなく、「プロセス」や「行動」を褒めることが効果的です。
「~~に取り組んでくれたことで、他のメンバーのよい影響になった」「~~の行動がとても助かった」等、具体的なプロセスや行動を褒めることで自信につながり、自らモチベーションを上げて行動していくようになります。
特に、信頼している、尊敬している相手からの言語報酬は威力が増します。
上司や経営者からの一言は大きな原動力になるのです。
賞与の支給時には、金銭報酬だけではなく、一年間のねぎらい、感謝、部下の行動を褒める「言語報酬」を添える。
今からでも充分に間に合う「モチベーションUP」につながる取り組みです。
コーディネーター 薗田 直子