自動車業界の行方は?コロナ危機を転機に!

 皆さま、こんにちは!群馬県よろず支援拠点の山内です。
今回は私が担当させていただきます。
        
自動車業界は「100年に1度の変革期」を迎えている最中に新型コロナウイルス感染症の危機が訪れています。
日本の自動車メーカーの業績や今後の対応をつぶさに見ていくと各社の対応すべき喫緊の課題が見えてきます。
       
・日産はグローバル拡大戦略を見直し、工場閉鎖などのリストラをはじめとする構造改革を実施していく方針です。
・三菱自動車はASEANに特化した経営資源の選択と集中に舵を切りました。
・ホンダは主力の4輪事業は再構築の途上であり、4輪事業の不振を2輪事業でフォローしています。過剰になった生産能力の削減とこれまで聖域だった本田技研研究所の吸収による構造改革も行う計画です。
・スバルとマツダは北米での収益力が高く、米国市場がコロナの影響から脱却できるかが今期の業績に大きく影響します。
・スズキは圧倒的な販売シェアを誇るインドでの収益力が業績に占めるウェイトが大きいため、インド経済の先行きと同国でのコロナの動向が明暗を分けることになりそうです。
・トヨタは今期の世界販売台数を890万台と見込んでおり、8年ぶりに1000万台の大台を割ることになりそうです。

 

今後は群馬県におけるサプライヤーチェーンや地域経済(トヨタ=愛知、マツダ=広島、スバル=群馬、スズキ=静岡)への影響を含め、取引先である部品企業の支援まで対応できるかどうかが問題となりそうです。

 

≪カーシェアリングへのシフトと自動車関連企業の今後について≫

 

シェアリングエコノミーが台頭するなか、ユーザーの車に対する意識が変わってきています。
特に20代・30代の若者にとって、車は所有するものではなく、「誰かと車を共有し、好きな時好きな時間だけ利用する」に変わっており、乗用車はこれまでのようには売れないとの認識が広まっています。
クルマのEV化も加速度を増し、必要であった内燃機関のエンジンやそれにまつわる部品が不要になり、その部品を生産する工場の減少や、規模の縮小、働く従業員の減少も懸念されるところです。        
鉄製部品が樹脂製に変化しているため、鉄鋼部品メーカーの受注の減少にも影響が及びます。
また、共通部品の採用による寡占化が進むことにより、新規部品の案件が減少するでしょう。
ハイブリッドやEV化が進むことで、町の自動車工場では修理対応ができなくなる案件が増え、今後はディーラーへの依頼が増加することが予想されています。

 

≪下請けからの脱却と多角化戦略≫

 

それでは自動車関連企業はどうしらいいのでしょうか?
将来に備えるための方法として、下請け企業体制から脱却し、自社で収益を上げられる事業を始めるという選択が考えられます。
多角化戦略も、社会や消費者ニーズの変化に対応し、経営基盤の安定化を図るための有効な手段です。
そもそも多角化戦略とは、主事業とは別の新事業やサービスを展開する経営戦略のことですが、収益の安定化を目的とする場合には非関連事業への展開ではなく、関連事業への多角化のほうが収益性を向上させやすいでしょう。

ぜひ1度よろず支援拠点にお立ち寄りください、ご来訪をお待ちしています。        
        
群馬県よろず支援拠点 コーディネーター 山内 弘一